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スタンフォード大学のME310
SUGARネットワークの 始まり
京都工芸繊維大学における ME310/SUGAR
スタンフォード大学のME310

スタンフォード大学のME310は、1967年に機械工学科の大学院生向け問題解決型(PBL)コースとして設立されました。サンフランシスコ・ベイエリアの地元企業が、彼らが抱える問題に対する革新的な解決策を開発するようスタンフォード大学の学生に持ちかけたことに端を発します。現在ではPBLベースのコースは一般的なものかもしれませんが、当時、その考えは革新的なものでした。

 

プロジェクトのトピックは、業界からの要求とリンクしているため、時代に合わせて変化していきました。そして90年代に入ると、機械システムが電子システムやソフトウェアシステムと統合されるようになり、スマート製品に関するプロジェクトが増加しました。2000年代初頭、ME310のコースインストラクターであり、デザイン研究センターの創設時の所長でもあるラリー・ライファー教授(Professor Larry Leifer)がある実験的な試みを行いました。スタンフォード大学の学生のみでプロジェクトに取り組むのではなく、彼の学術的なつながりを通じて、他の大学の学生をチームに招待したのです。この試みにより多様性に富んだチームほど、より良い結果をもたらす傾向にあることが明らかになりました。

 

一方で、このチームメンバーの多様性によるプロジェクト成果の向上に、全てのチームが成功したわけではありませんでした。ME310のカリキュラムは、シリコンバレー文化にあるスタンフォードの学生向けに設計されましたが、それらは海外の学生に受け入れられないこともあったのです。しかしながら、この実験的な取り組みは継続され、毎年改善が行われました。例えばプロジェクト開始の早い段階で、対面式のイベントを行うことが、チーム内の円滑なコミュニケーションにつながることが判明すると、グローバル・キックオフ・ワークショップが実施されるようになりました。現在でもこのイベントは毎年継続して実施されています。そして2006年以降、ME310は全てのプロジェクトを世界中に拡大することを決めました。

 

コースの設立から半世紀以上経った今も、スタンフォード大学のME310は、多くの企業に画期的なイノベーションを生み出す一方で、世界レベルのエンジニア、製品開発者、起業家を育成し続けています。

 

ME310の歴史についてもっと知りたい場合は、「ME310 at Stanford University:50 Years of Redesign」をご覧ください。

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私たちは、グローバル化の時代の真っ只中にいます。私たちの学生のほとんどは、世界的に活動する企業に就職するため、グローバルなコラボレーションスキルを要求されます。ME310は多様化するチームワークでのコラボレーションスキルを高めるための最適なプログラムです。

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 Larry Leifer, スタンフォード大学 教授

SUGARネットワークの始まり

ME310における大学間のコラボレーションは、当初スタンフォード大学と他大学の間で行われたものでした。しかし2009年に、フランス国立土木学校(École des Ponts ParisTech)フィンランドのアアルト大学、日本の京都工芸繊維大学において、スタンフォード大学を伴わない新しいかたちのプロジェクトが始まりました。フランス国立土木学校とアアルト大学の間で2つのプロジェクト、京都工芸繊維大学とアアルトの間で1つのプロジェクトが実施されたのです。この時、スシ・スズキはフランス国立土木学校でこのプロジェクトの指導に当たっていました。

 

非公式にSUGARネットワークと名付けられた「非スタンフォード型」プロジェクトは、グローバル・キックオフ・ワークショップやEXPEと呼ばれる最終プレゼンテーションなど、スタンフォード大学のイベントに参加しました。そして2011年にターニングポイントが訪れます。SUGARネットワークに参加する大学の増加に伴ってプロジェクト数が膨大になり、スタンフォード大学キャンパス内のキャパシティーがこの数に対応できなくなったのです。そのため別のキックオフ・イベントを開催することになりました。SUGARネットワークという名称はより広く認識されるようになり、スタンフォードを含むプロジェクトはME310として、「非スタンフォード型」プロジェクトはSUGARとして知られるようになりました。なお、京都工芸繊維大学においては両方のプロジェクトに参加するケースがあるため、ME310/SUGARと呼んでいます。SUGARネットワークは急速に成長し、2018-2019年のプログラム年度には、20以上の大学と200名以上の学生が30以上のプロジェクトに参加しました。SUGARネットワークの成長は、プロジェクトや学生の多様化にもつながっています。

 

ところでスタンフォード大学におけるME310プロジェクトは、当初、参加学生のほとんどが機械工学科出身であり、プロジェクトは、シリコンバレーに研究所を持つ多国籍製造企業が提案したハードウェア製品のイノベーションに関する課題がほとんどでした。 しかし近年は、コンピュータサイエンス、デザイン、建築、ビジネス、さらには人文科学の学生がプログラムに参加し、プロジェクトの内容も多様化しています。そして、ソフトウェア開発企業やサービスの提供を主とする様々なタイプの企業がスポンサーとなっています。

SUGARネットワークでは、より多くのプロジェクト、新たな大学、新たな企業パートナーを得て、年々成長し続けてきました。SUGARネットワークの詳細については、公式ウェブサイトをご覧ください。

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京都工芸繊維大学における
ME310/SUGAR

京都工芸繊維大学におけるME310/SUGARは、参加学生による草の根活動から始まりました。2009年にアアルト大学の教員が、あるプロジェクトのパートナー大学をプロジェクトの開始直前まで探していたのです。既存の大学ネットワークの中からパートナー大学を見つけることができず、彼は、アアルト大学に留学していたKITの学生に日本でチームを結成してもらうよう頼みました。この学生はすぐに日本で4名のメンバーを集め、非公式にアアルト大学のプロジェクトに参加しました。そして京都工芸繊維大学はこのプログラムへの支援を開始したのです。その後も数年間、京都工芸繊維大学とアアルト大学は、いくつかのプロジェクトを共同で行いました。

2015年、京都工芸繊維大学にKYOTO Design Labが設立されました。これに伴い、デジタルファブリケーションなど新しいリソースが利用可能となりました。同時期にスシ・スズキが特任准教授として招聘され、ME310/SUGARがより本格的に実施されるようになったのです。これ以降、京都工芸繊維大学では毎年複数のME310/SUGARプロジェクトを実施し、SUGARネットワークのコアメンバーとなっています。

KYOTO Design labでのプロジェクトの詳細については、KYOTO Design Labのウェブサイトをご覧ください。

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